ブロードキャスト・チャットアプリ

この演習では、新たに身に付けた知識を活かしてブロードキャスト チャット アプリを実装します。クライアントが接続してメッセージを公開するチャット サーバーがあります。クライアントは標準入力からユーザー メッセージを読み取り、サーバーに送信します。チャット サーバーは受信した各メッセージをすべてのクライアントにブロードキャストします。

このために、サーバー上の ブロードキャスト チャンネル を使用し、クライアントとサーバー間の通信には tokio_websockets を使用します。

新しい Cargo プロジェクトを作成し、次の依存関係を追加します。

Cargo.toml:

[package]
name = "chat-async"
version = "0.1.0"
edition = "2021"

[dependencies]
futures-util = { version = "0.3.31", features = ["sink"] }
http = "1.1.0"
tokio = { version = "1.41.0", features = ["full"] }
tokio-websockets = { version = "0.10.1", features = ["client", "fastrand", "server", "sha1_smol"] }

必要な API

tokiotokio_websockets の以下の関数が必要になります。少し時間をかけて API に対する理解を深めてください。

  • WebSocketStream によって実装された StreamExt::next(): Websocket Stream からのメッセージを非同期で読み取ります。
  • WebSocketStream によって実装された SinkExt::send(): Websocket Stream 上でメッセージを非同期で送信します。
  • Lines::next_line(): 標準入力からのユーザー メッセージを非同期で読み取ります。
  • Sender::subscribe(): ブロードキャスト チャンネルをサブスクライブします。

2 つのバイナリ

通常、Cargo プロジェクトに含めることができるのは 1 つのバイナリと 1 つの src/main.rs ファイルのみです。このプロジェクトには 2 つのバイナリが必要です。1 つはクライアント用、もう 1 つはサーバー用です。2 つの独立した Cargo プロジェクトを作成することもできますが、ここでは 1 つの Cargo プロジェクトに 2 つのバイナリを入れます。そのためには、クライアントとサーバーのコードを src/bin に配置する必要があります(ドキュメント をご覧ください)。

次のサーバーとクライアントのコードを、それぞれsrc/bin/server.rssrc/bin/client.rs にコピーします。ここでのタスクは、以下で説明するように、これらのファイルを完成させることです。

src/bin/server.rs:

use futures_util::sink::SinkExt;
use futures_util::stream::StreamExt;
use std::error::Error;
use std::net::SocketAddr;
use tokio::net::{TcpListener, TcpStream};
use tokio::sync::broadcast::{channel, Sender};
use tokio_websockets::{Message, ServerBuilder, WebSocketStream};

async fn handle_connection(
    addr: SocketAddr,
    mut ws_stream: WebSocketStream<TcpStream>,
    bcast_tx: Sender<String>,
) -> Result<(), Box<dyn Error + Send + Sync>> {

    // TODO: ヒントについては、以下のタスクの説明をご覧ください。

}

#[tokio::main]
async fn main() -> Result<(), Box<dyn Error + Send + Sync>> {
    let (bcast_tx, _) = channel(16);

    let listener = TcpListener::bind("127.0.0.1:2000").await?;
    println!("listening on port 2000");

    loop {
        let (socket, addr) = listener.accept().await?;
        println!("New connection from {addr:?}");
        let bcast_tx = bcast_tx.clone();
        tokio::spawn(async move {
            // 未加工の TCP ストリームを WebSocket にラップします。
            let ws_stream = ServerBuilder::new().accept(socket).await?;

            handle_connection(addr, ws_stream, bcast_tx).await
        });
    }
}

src/bin/client.rs:

use futures_util::stream::StreamExt;
use futures_util::SinkExt;
use http::Uri;
use tokio::io::{AsyncBufReadExt, BufReader};
use tokio_websockets::{ClientBuilder, Message};

#[tokio::main]
async fn main() -> Result<(), tokio_websockets::Error> {
    let (mut ws_stream, _) =
        ClientBuilder::from_uri(Uri::from_static("ws://127.0.0.1:2000"))
            .connect()
            .await?;

    let stdin = tokio::io::stdin();
    let mut stdin = BufReader::new(stdin).lines();


    // TODO: ヒントについては、以下のタスクの説明をご覧ください。

}

バイナリの実行

次のコマンドでサーバーを実行します。

cargo run --bin server

次のコマンドでクライアントを実行します。

cargo run --bin client

タスク

  • src/bin/server.rshandle_connection 関数を実装します。
    • ヒント: 2 つのタスクを連続ループで同時に実行するには、tokio::select! を使用します。1 つのタスクは、クライアントからメッセージを受信してブロードキャストします。もう 1 つのタスクは、サーバーで受信したメッセージをクライアントに送信します。
  • src/bin/client.rs のメイン関数を完成させます。
    • ヒント: 前の例と同様に、tokio::select! を連続ループで使用し、(1)標準入力からユーザー メッセージを読み取ってサーバーに送信するタスクと、(2)サーバーからメッセージを受信してユーザーに表示するタスクを同時に実行します。
  • 省略可: 完了したら、メッセージの送信者以外のすべてのクライアントにメッセージをブロードキャストするようにコードを変更します。